【肩もみ館】肩を支える筋肉 その5


【前鋸筋】serratus anterior

「ぜんきょきん」と読みます。
昔、どこかのワークショップに参加した時に「まえのこぎりきん」と読んだ、“つわもの”がいましたが、決して“のこぎり”ではありません。
(この文字列で、のこぎりと読めるのもある意味すごいですけど。)

読んで字の如く、名前の由来は、ラテン語のserra(セッラ)「鋸(のこぎり)」から来ているようです。
形状がノコギリ状の形である事に由来しているそうです。

この、のこぎり筋、いや前鋸筋。
肋骨と肩甲骨を繋いでいます。
動作としては、肩甲骨を前に出す動きになります。
パンチを出す、拳を突き出す動きですね。
ボクサーや空手家の方々がとてもよく使っている筋肉です。
強いパンチを出すためには、鍛えておきたい部分になります。

この動きがメインの機能になりますが、他にとても重要な役割があります。

それは、腕の土台である「肩甲骨」を支える仕事です。

肩甲骨は鎖骨を介して肋骨(体幹)と繋がっているのですが、実際に動く際には、前鋸筋が働いて肋骨と腕を連動させます。

試しに次の動きをやってみてください。

☆まず、腕を前に真っ直ぐに伸ばします。

1.腕はそのままで、肩を下げて、肘を外側に曲げます。

2.腕はそのままで、肩を上げて、肘を外側に曲げます。

1と2で腕の動く感覚に違いがあるのを感じたでしょうか?

1.が前鋸筋が働いている状態、
2.が前鋸筋が働いていない状態です。

前鋸筋が働いていないと体幹との連動がなくなり腕だけが単独で動く事になってしまいます。
そうすると腕を動かすために“腕を支える”必要が出てくるので、僧帽筋などの肩周りの筋肉が腕を支える働きをしてしまいます。
そのまま疲労がたまると、肩こりへとつながっていきます。

疲れないために、腕が安定して使えるように前鋸筋の支えが必要になるのです。

肩こり予防のためにも
パソコン作業をする時は、肩を下げて肩甲骨を少し外側に動かすようにイメージしてください。
すると、腕の土台である肩甲骨が腕と体幹とをしっかり連動して支えてくれます。

くれぐれも肩を上げてパソコン作業をしないようにしてくだいね。